花綴り

リンドウ

秋を代表する花の一つにリンドウがあります。
花期は長くて他の秋草が枯れる頃になっても鮮やかな青紫の花を咲かせているリンドウは、清少納言の枕草子や紫式部の源氏物語、古今和歌集などの古典にも出てくるお馴染みの花ですね。

リンドウは、「竜胆(りゅうたん)」と書きます。根っこを乾燥させて生薬にしますが、熊の胆(熊胆=ゆうたん)よりも苦いという意味から、熊よりも力強い竜の字が当てられました。

お薬として使われるようになった話の一つとして、役行者(えんのぎょうじゃ)小角(おづぬ)のお話が日光二荒神社の二荒縁起にあります。日光の山を歩いていたらウサギが現れて、リンドウの草を雪の中から掘り出していました。小角は、その草の根を掘り持ち帰って病人に飲ませたところ、優れた効き目がありました。以来、二荒神がウサギになって教えた薬草りんどうは「霊草」となったという話です。

B-123 『りんどう』

リンドウの入った図案はいろいろありますが、まずはこの一輪。
花は、陽を受けて開いて雨や夜は閉じますが、これは花の形が釣鐘を上向きにした形なので、花の中に雨や露が入って傷まないためです。
これは、陽をいっぱいに浴びている時ですね。

N-29 『夏草 Ⅱ』

こちらの図案は、リンドウに、すすき、吾亦紅、ふしぐろせんのう等が入っていて、日本の秋を感じさせると評判の図案です。
大きな作品にもかかわらず、多くの方が刺繍していらっしゃいますし、ファンの多い作品です。

鉢植えも可愛いし、切花としても素敵です。
ピンクや白もありますし、アレンジによって、しっとりした日本風花束にもゴージャスな洋風のブーケにも変身する魅力ある花だと思います。

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