花綴り

ムクゲ

裏庭に白いムクゲの木があります。
5年前に虫がついて根元から伐ってしまって悲しい思いをしましたが、
次の年、小さめな丈でしたが、同じように花を咲かせてくれて、とても丈夫な木なのだと実感しました。
その後、木はグングン大きくなり、また以前のように、毎年白い花をたくさん
咲かせてくれるようになりました。
今年も照りつける暑い夏の陽射しの中で爽やかに咲いています。

ムクゲは一花が一日しか咲きません。
しかも午前中に美しく開いて、夕方にはしぼんでしまいます。
毎日毎日、新しい花を咲かせて、夏中、楽しませてくれます。
固いつぼみの時は、緑色で、開いた花からは想像し難い小さなものです。
つぼみが少しずつ大きくなって、白い花弁が見えてくると、いつ咲くのかなぁと期待しますが、とても繊細な花なので、咲く前に地面に落ちたりすることもしばしば。
一日というか半日しか開かないのですから、咲いてくれると、嬉しくなります。

ムクゲは、漢字で「木槿」と書きます。
一日しか咲かない儚い花を喩えて、
「槿花一朝の夢(きんかいっちょうのゆめ)」
「槿花一日の栄(きんかいちじつのえい)」があります。

B-321 『むくげ』

今残っている木は、真っ白なムクゲですが、かつてはもう1本、花びらの根元に赤が入っているものがありました。
「底紅(そこべに)」と言うそうで、季語になっています。
この作品が、その木の花をモデルにしたものです。

ムクゲは、別名に「ハチス」「キバチス」というのがありますが、「木の蓮(はちす)」から来ているようです。アオイ科フヨウ属。

今日の撮影の時、花の周りには、蜂がたくさんいて、花芯(花柱)に留まっていました。
私がカメラを向けて近付いても驚く様子もなく(?)、そのまましがみついていました。

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