花綴り

フヨウ

フヨウも、ムクゲと同じアオイ科フヨウ属で、同じように一日だけ咲く一日花です。
それぞれの花は一日しか咲きませんが、次々に花が開くので、夏中ずっと咲いている印象を持つ方も多いらしいです。

ムクゲとフヨウの花は似ていますが、簡単に見分ける方法があります。ポイントは花芯。
ムクゲは、花粉袋が花芯(花柱)の上から下まで全体に付き、花柱から先まで真っ直ぐ伸びています。
7月23日の蜂がしがみついている花芯(花柱)を見て頂くとわかりやすいと思います。
フヨウは、花粉袋が花芯(花柱)の中央部分に付いていてチョット太め、花柱の先が曲がっています。
象の鼻のようです。

N-46 『芙蓉』 (部分)

フヨウは漢字で「芙蓉」と書きます。
ハスの花の古名と区別するために「木芙蓉」とすることもあります。
この「芙蓉」というのは、美しいという形容に使われます。
例えば、「芙蓉の顔(ふようのかんばせ)」
「芙蓉の眦(ふようのまなじり)」
「芙蓉峰(ふようほう)」があります。
前の二つは、そのまま、美しい顔、美しい目元を指し、「芙蓉峰」は美しい富士山のことです。
これらの形容に使われる「芙蓉」とは、「ハスの花」ではなく、「フヨウの花」とする説の方が多いとのことです。

古くから夏を代表する花として親しまれ、日本画の題材としても多く描かれています。
個人的には、速水御舟の「芙蓉」がすぐに思い浮かびます。

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