| 植木良枝の作品の中から、季節に合ったものをご紹介致します。 |
今や110歳になろうとしている自宅の染井吉野が70代まだまだ元気な頃の姿をスケッチして
デザインしたものです。
植木良枝の図案でモデルになっている自宅の2本の桜、枝振りや色合いが違うので、
どの図案がどちらの木がモデルなのか、はっきりわかります。
1本目はこの「春宵」、2本目は「散りそめてU」となりました。
しかも、必ずペアで作られているのは、片方の木がひがむといけないからとの配慮のようでした。
フレンチナッツステッチを、花の塊や飛んでいる花びらに使うのは、
植木独特の手法で、この作品は40代前半の代表作と言えます。
フレンチナッツステッチについて、下記のような文章を残しています。
『針の先に糸を絡めて裏に引くと、布の上に糸の結び目が小さな粒となって乗っかっている。
フレンチナッツとかつぶ縫いとか呼ばれているこのステッチを、
刺繍の中で最も面白い表現手段だと思う。
専ら花の小さな芯に使っていたこの粒を、染井吉野の花の塊に使ってみて以来、
私は一層このステッチの変化にはまり、計り知れない量を縫い続けている。
染井吉野に限らず遠景の花の時には「あなたは今この花ですよ」と言い聞かせながら縫えば、
どんな花にも変身してくれる。
針の大きさ、糸の種類や太さ、巻き具合などで驚くほどに表情を変えてくれる
この小さな粒の力は偉大である。』
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